よくばりな恋
キスの後、頬を撫でられる。
先生、大人の恋愛はわたしには切なすぎて、胸が痛いです。じわりと目が潤む。泣き顔を見られたくなくて、先生の首に腕を回し、しがみついた。
「翠?」
先生が背中をポンポンとする。
「熱のせい。ちょっと心細くなっただけ」
「子供みたいやな」
ポンポンポンと規則正しく背中をたたかれる。
「オレ、今日は朝から仕事やけど、夜には帰るからゆっくりしとき。メシとか作らんでええからな」
「ぷっ・・・・・」
「なに?」
「先生がいつになく優しい」
クスクス笑いがもれる。
「病人やからな」
首に回した腕をはずされて、デコピンされた。
「昨日から泣き顔と寝顔しかみてなかったから笑顔が見れて良かったわ」
そう言うと、もう一度唇を重ねられた。