キミが教えてくれたこと
見えているものが全てではないということ
クラスにも慣れて来た5月、ゴールデンウィークに入りみんな出来たばかりの新しい仲間と楽しく過ごしていた
茉莉花はというと、相変わらずゴールデンウィーク中大忙しのgrazieでほぼ過ごし登校するとさらに孤立してしまっていた
以前は少し寂しい気持ちもあったが、今は気にならなくなった
それはこの隣にいる幽霊、ハルトの存在が大きいからだろう
『もー!何で起こしてくれないのよー!』
「何度も起こしたけど茉莉花がよだれ垂らして寝てたんだろ!」
『な!垂らしてないわよ!!』
宿題という存在をすっかり忘れ、夜中まで答えの出ない問題に悪戦苦闘していた
休み明けということもあり、まだアルバイト疲れが残っていた茉莉花は宿題が終わったと同時に机の上に伏せて寝てしまったのだ
目が覚めると少し開いたカーテンから明るい日差しと鳥のさえずり
目の前には学校!と叫び時計を指すハルトの指を辿ると登校する時間になっていた
なんとか学校に着いた頃にちょうど本鈴が鳴ってしまった
『…遅刻なんてしたことないのに』
半泣きになりながら教室に向かうと、ハルトは大丈夫大丈夫!と少し自分の責任を感じているのか茉莉花を励まし続けた
そんなハルトを見ていると、拗ねてなんていないのに拗ねたふりをして困らせてしまう
ガラッと教室のドアを開けると既に担任が出席をとっていた
『おはようございます。すみません、遅れました』
「林が遅刻なんて珍しいなー。まだ林の出席取ってないからセーフにしといてやろう」
ありがとうございます、ホッと胸を撫で下ろすともう一度教室のドアが開いた
「すみません!遅れました!」
そこには額に汗を滲ませたクラスメイトが部屋に入ってきた