キミが教えてくれたこと


「うわー!俺、騎馬戦じゃん!」

「やった!私玉入れ!」

「ちょ…俺のこの女装リレーってなに…?」


みんなあみだくじでひいた競技に一喜一憂。たまに新しい種目が入っているので困惑する人もいた


「茉莉花は何に出るんだ?」


ハルトは教卓の前で呆然と立つ茉莉花に尋ねたが、放心状態なので黒板に貼り付けてある参加種目の名前を見る


「…クラス対抗リレー?」

茉莉花は走るのが一番苦手だった

ましてや、団体競技で自分が足を引っ張ればクラスの勝敗に響く種目だ

「大丈夫だって!アンカーにさえならなけりゃ後は誰かが繋いでくれるって!」

あまりにも放心状態の茉莉花にハルトは優しくフォローする


「はーい!ではリレー種目に参加の人ー!ジャンケンで走る順番決めるのでこちらにどうぞー!」

茉莉花はどこか一点を見つめながらリレーに参加するクラスメイトの輪に入っていく


「では行きまーす!さーいしょはグー!ジャンケンっ…!」














「茉莉花ちゃん…大丈夫?」

「おい、茉莉花、しっかりしろ」


運命のジャンケン対決

結果は一人負けでアンカーになってしまった

『駄目だ…私本当にみんなの足を引っ張ってしまう…』

「またまたー、そんな事言ってー!茉莉花ちゃんなんでも器用にこなすじゃない!」

『いや…ほんとに…』


今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった


「今から少しだけ種目別に練習するから体操服に着替えて運動場に集合!」


そう言って担任は教室を出て行った

『駄目駄目!ほんとに!ねぇ、できる事があれば何でも言ってって言ったよね!?辞退はしないからせめて私を先に走らせて!』

「んー、茉莉花ちゃんごめん。こういう運命だと諦めて☆」

眉を下げてショックを受けている茉莉花を百合は手を引いて更衣室まで連れて行った


「茉莉花、大丈夫か?」

『大丈夫じゃない。全然大丈夫じゃない』

着替え終わった茉莉花は体育委員である百合の元に重い足取りで向かっている

日頃強気な茉莉花がこんなに弱気になるところを初めて見た

「ま、まぁ、授業ではやったことあんだろ?授業だと思って走ってみ?肩の力を抜いて、リラックス!そして深呼吸!」

『……はぁぁぁぁぁぁ〜』


「茉莉花、それは深呼吸じゃなくてため息だ」


肩を落としながら整列する茉莉花を見て、大丈夫かよ…と心配になった



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