キミが教えてくれたこと
ハッとして時計を見ると、学校に向かう準備をする時間だった
『わ!学校!!』
掛け布団をめくり、慌てて制服を着ようとしたが一瞬静止しジロリと青年を見た
「?」
『……。ちょっと出てってくれる?』
「なんで?」
『着替えるの!!あなたがいたら着替えられないでしょ!ほら早く…っ!』
そう言って青年の背中を押し部屋から出そうとすると、茉莉花の手がするりと背中を貫通してしまった
『……え』
「ほら、俺幽霊だから。実体ないの!」
『………。』
茉莉花は青年と、青年を触ろうとした手を見比べる
『き、』
きゃあぁあああぁあぁぁ!!!!
本日何度目かの茉莉花の叫びが響いた。
疲労感たっぷりの体をなんとか動かし、玄関で自分を見送る青年、もとい幽霊を見る
『…じゃあ、私、学校行くから』
「おう!しっかり勉強してこい!」
何故か仁王立ちで偉そうに言う青年にため息をつきながら、玄関のドアを開けようとすると「なぁ」と声をかけられた
「名前!なんて言うの?」
『え、あ…、茉莉花。林茉莉花(はやし まりか)』
「茉莉花な!よろしく!俺はハルト!」
そう言った後、少し困ったように笑いながら
「わりぃ、今、それしかわかんねぇんだ」
と話す青年に何故か胸が締め付けられた
『じゃあ…私行くから…』
「おう!茉莉花、いってらっしゃい!」
その言葉に少し驚き、振り返らずに小さな声でいってきます、と呟いた