キミが教えてくれたこと
一体いつぶりだろう、誰かに「いってらっしゃい」と笑顔で見送ってもらったのは…
閉めたドアを背にし少しくすぐったくなるその言葉を胸に、ぎゅっと目を閉じた後ゆっくりと開き弾む気持ちを降りる階段の足に乗せた
思ったより予定時刻を過ぎていたので少し足早に学校へ向かっていると、遠くの方で叫び声が聞こえた
風を切る音と混じっていたその声を目で探していると、だんだんと声が近くなっているように思える
「ぬおおおおお!!!!なんだこれぇえぇぇえ!!!」
振り返るとハルトが胸を突き出し、宙に浮いたまま茉莉花の方へ高速で向かってくる
『い…いやあぁああああぁあ!!!』
振りほどいても振りほどいても向かってくるハルトに茉莉花は全速力で逃げる
ハルトは自分の意思とは無関係に動く体に振り回されて若干白目を剥いている
それにさらに恐怖を覚えた茉莉花は学校まで全速力で向かった