キミが教えてくれたこと


「いやー!学校って楽しいのなー!」


お昼休み、誰もいない中庭でハルトは宙で寝そべりながら伸びをしていた


『あなたねー、見えてる私の身にもなりなさいよね!』


授業中、生徒の実況中継をしたり先生の教科書に載っている答えを大声で言ったりとお昼までの授業は散々だったことを思い出し、呑気にふわふわ浮いているハルトに伝える


そんな茉莉花の言葉をもろともせず、鼻歌を歌ってご機嫌だ


『もうっ!ほんとに…』


茉莉花はベンチに座ってお昼ご飯にと購買で買ったパンの袋を開ける


「…なぁ」


『…なに?』


パンを齧ってハルトの言葉に耳を傾ける


「お前って…友達いねぇの?」


その言葉に茉莉花は咀嚼する口の動きを一瞬止めたが数秒してまた再開した


『…別に』


「別にって…。昼飯も一人だし、移動教室も…休憩中だってずっと一人じゃん」


『あなたに関係ないでしょ!それに…私別に一人でも平気だし!こういうの慣れてるから!』


そう言うと茉莉花はふいっとハルトがいない方へ顔を背ける


そんな茉莉花を見て、ハルトはそっぽを向いてる茉莉花の前に立ち目線を合わせるようにしゃがんだ


「ばーか。そんなこと慣れてんじゃねぇよ」


言葉こそ馬鹿にした言い方だが、ハルトの声はとても穏やかで包み込んでくれるようだった

何故か少しだけ、ほんの少しだけ、茉莉花は涙が溢れ出してしまいそうになった




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