キミが教えてくれたこと





「みなさん、おはようございます。」

職員室の扉が開き、校長と教頭が入って来た

教職員達は次々に挨拶し、椅子から立ち上がり自分の席の前で立つ


「えー、今日は入学式です。生徒達の新しい人生の第一歩という大切な日。無事に1日が終わりますよう、みなさんご協力の程よろしくお願いいたします」


「「よろしくお願いいたします」」


茉莉花は一番後ろで校長に頭を下げる



「では、今日から新しく赴任される先生のご紹介を致します。先生、入ってください」


『あ…』


茉莉花は視線の端に先ほど落としてしまった資料が何枚か机の下に落ちているのが見えた


ガラッと職員室の扉を開ける音が聞こえたが他の人に踏まれてはいけないと注目が前に注がれている間にしゃがみ込み資料を集める


「では、先生、自己紹介を」








「初めまして。僕は以前この学校に在学しており、尊敬する恩師に誓った"教師になる"という目標を叶え今この場に立っています。」


茉莉花は落ちていた最後の一枚の資料を取る手を止めた


その声は聞き覚えがあり、どこか懐かしさを感じた


「まだまだ勉強不足でご迷惑をおかけすると思いますが、至らない点はどんどんご指導ください!よろしくお願いします!!」



「あ、あの…せ、先生、お名前がまだ…」


「あ、そっか」


教員達がクスクス笑っている

だけど、まさか、そんなはず…と茉莉花の頭の中はぐるぐると駆け巡る



ゆっくりと立ち上がり茉莉花は声のする方を見ると彼と目があった


彼は一瞬驚いた顔をしたが、茉莉花を見てすぐに笑顔になる



ーーそしてあなたは教えてくれた












「天野 晴人です。よろしくお願いします。」








ーー奇跡は起きるということを…ー











キミが教えてくれたこと END
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