キミが教えてくれたこと
「よし!!じゃあ俺が茉莉花の友達になってやる!」
『は…はぁ?』
勢いよく上体を起こし、ハルトは白い歯を出して笑う
そんなハルトに気の抜けた声を出してしまった
「これもなんかの縁だしよ!どうせ一緒にいないと駄目みたいだし、俺も友達いねぇしちょうどいい!」
な!と同意を求めてくるが、一体何がちょうどいいのだろうか…。顔を歪ませながら考えるが到底答えなんて出ず茉莉花は手元にあるパンに齧りつく
「まずは名前からだな!お前、まだ俺のこと名前で呼んでないだろ?」
『別に、必要ないでしょ』
「必要だっつーの!名前で呼ぶことによって距離が縮まるんだよ!ほら!ハルトって言ってみろ!」
『い、嫌よ!なんでそんな強制的に…』
「はい、ハールート!リピートアフターミー!」
『…付き合ってられない』
茉莉花はベンチから立ち、教室に向かう
「おい、茉莉花!say say(言え 言え)!」
『…馬鹿馬鹿しい』
本当は少し心が温まった。名前で呼び合い、誰かと日常会話をすることがいつの間にか遠のいてしまっていた茉莉花は、素直になれずただ悪態をつくしかできなかったのだ