コワレモノ―人類最後の革命―
世界を壊す
左を見る。車がスピードを上げてこっちに迫ってくる。私はすかさず歩道に戻り、姫乃と対峙する。
「疑っといて正解だった」
「疑ってたの? その割には焦ってない?」
「…」
「あ、図星なんだ~」
歯がすり減りそうなほど歯ぎしりをした。
「…絶対許さないから…」
「しつこい女の子はモテないよ?」
「…姫乃ぉぉぉ!」
あの時と同じように、お互いに肩に手を掛け合う。でも、今度はさっきよりも条件が厳しい。車道に平行に並んだ私達は、どちらも轢かれる可能性がある。
「天性を利用して人の上に立たないで!」
「そういうもんだよ、仕方ないじゃん!」
危険性を理解しているのか、姫乃の顔からは余裕が消えていた。
「それが自分の力だと思ってるの!?」
「そうだよ!」
「そうじゃないから! 姫乃はたまたま、そういうお金持ちの所に産まれただけでしょ!?」
「お父さん達をバカにしないで!」
まだ雨は降っていた。それに加えて、少し空も暗くなってきていた。
「確かに私はたまたま坪根家に産まれただけかもしれないけど、お父さん達は自分の力で坪根グループを作ったの! それはどう説明するのよ!? 努力してきた人にもそういうことを言うの!?」
「努力だって!」
涙の雨が服に、皮膚に染み込む。
「努力だって、たまたま努力できる、それを実に結ぶことができる才能を持って産まれただけなの! 粘り強く産まれないと無理なの! だから努力なんてもの、本当は存在しないの!」
「いい加減にしてよ、咲羅ちゃん!」
「絶対に許さないから!」
私は全ての力を右腕に集中させ、姫乃を車道に押し倒した。そしてすぐさま歩道に戻ると、数十メートルほど先から車が来るのが見えた。
「疑っといて正解だった」
「疑ってたの? その割には焦ってない?」
「…」
「あ、図星なんだ~」
歯がすり減りそうなほど歯ぎしりをした。
「…絶対許さないから…」
「しつこい女の子はモテないよ?」
「…姫乃ぉぉぉ!」
あの時と同じように、お互いに肩に手を掛け合う。でも、今度はさっきよりも条件が厳しい。車道に平行に並んだ私達は、どちらも轢かれる可能性がある。
「天性を利用して人の上に立たないで!」
「そういうもんだよ、仕方ないじゃん!」
危険性を理解しているのか、姫乃の顔からは余裕が消えていた。
「それが自分の力だと思ってるの!?」
「そうだよ!」
「そうじゃないから! 姫乃はたまたま、そういうお金持ちの所に産まれただけでしょ!?」
「お父さん達をバカにしないで!」
まだ雨は降っていた。それに加えて、少し空も暗くなってきていた。
「確かに私はたまたま坪根家に産まれただけかもしれないけど、お父さん達は自分の力で坪根グループを作ったの! それはどう説明するのよ!? 努力してきた人にもそういうことを言うの!?」
「努力だって!」
涙の雨が服に、皮膚に染み込む。
「努力だって、たまたま努力できる、それを実に結ぶことができる才能を持って産まれただけなの! 粘り強く産まれないと無理なの! だから努力なんてもの、本当は存在しないの!」
「いい加減にしてよ、咲羅ちゃん!」
「絶対に許さないから!」
私は全ての力を右腕に集中させ、姫乃を車道に押し倒した。そしてすぐさま歩道に戻ると、数十メートルほど先から車が来るのが見えた。