コワレモノ―人類最後の革命―
「気づいてたんだ」
自分でも驚くほどに素っ気ない返事だった。
「…私、『希望者』だから。あの会話…見てたから」
「だから途中からいなくなったの?」
「うん…」
返事に困ってしまう。希実に対しての後ろめたさが現れたわけではない。ただ純粋に、どう繋ごうか迷っただけだ。
「ありがとね、渡辺」
「おう」
無音を断ち切るためにとりあえず渡辺に礼を言うと、渡辺は足早に去って行った。
「…咲羅、ゴメン…」
「だから謝んなくていいんだって!」
「そうじゃないの!」
「何…?」
「…もういい。もういいから…」
疑問が残ったまま、チャイムが無感情に授業五分前を告げた。希実は足早に階段を下りていったが、私はしばらく屋上独特の風を浴びていた。
その数日後。
希実が、転校した。
普通に考えれば、というか普通に考えなくとも、希実が転校した理由は明白だ。あえて言うまでもない。
ただ…その時、私が感じていたものは普通に考えても出てこないものだった。
私は、かつてないほどの充足感を味わっていた。
自分の手で、悪を討伐できた。それが、とてつもなく嬉しかったのだ。そしてそれが、私を泥沼へといざなっていくのだった…。
自分でも驚くほどに素っ気ない返事だった。
「…私、『希望者』だから。あの会話…見てたから」
「だから途中からいなくなったの?」
「うん…」
返事に困ってしまう。希実に対しての後ろめたさが現れたわけではない。ただ純粋に、どう繋ごうか迷っただけだ。
「ありがとね、渡辺」
「おう」
無音を断ち切るためにとりあえず渡辺に礼を言うと、渡辺は足早に去って行った。
「…咲羅、ゴメン…」
「だから謝んなくていいんだって!」
「そうじゃないの!」
「何…?」
「…もういい。もういいから…」
疑問が残ったまま、チャイムが無感情に授業五分前を告げた。希実は足早に階段を下りていったが、私はしばらく屋上独特の風を浴びていた。
その数日後。
希実が、転校した。
普通に考えれば、というか普通に考えなくとも、希実が転校した理由は明白だ。あえて言うまでもない。
ただ…その時、私が感じていたものは普通に考えても出てこないものだった。
私は、かつてないほどの充足感を味わっていた。
自分の手で、悪を討伐できた。それが、とてつもなく嬉しかったのだ。そしてそれが、私を泥沼へといざなっていくのだった…。