コワレモノ―人類最後の革命―
「おいおい、『愛人』って人聞きが悪いな。それに俺、ちゃんと彼女いるんだぜ?」

依頼人の彼氏は…渡辺だったのだ。

「百瀬も、上原と同じようにお前の腕をもぎ取ったやつなのか?」
「そういうこと。そうじゃないと私、夢壊ししないし」

渡辺が私の腕がないことを知っている理由は、追々話すとしよう。

「…やるんだな?」
「よろしく頼むね」
「…って、どうやるんだ?」
「これ」

私は、隠し持ってきたカメラを手渡した。小型だが性能が高く、隠しカメラなどでよく使われるものだ。

「これで、撮ってきて。百瀬さんの裏の、一部始終を」
「バイト代取りたい気分」
「バイト代はあげないから、今度同じように私に何か頼んで。人間、平等だから」

数日後。

「はい、これ」
「うまく撮れた?」
「俺が失敗すると思うか?」
「はいはい…」

家に帰り、カメラの中の映像を見てみる。そこには、夜の学校が映し出されていた。恐らく、カメラは服のポケットにでも忍ばせているのだろう。

「ゴメ~ン、待たせちゃった~?」

百瀬さんの声が聞こえる。普段からは想像もつかないような、カワイイ声だ。

「別に、待ってないけど?」
「最近付き合い始めたばっかなんだから、もうちょっと他に対応ないの~? ま、いっか。行こう」
< 15 / 120 >

この作品をシェア

pagetop