コワレモノ―人類最後の革命―
「…ん…」

何か柔らかいものの上に、私は寝ていた。

「…目、覚めたか…?」

誰かの声がする。その方を見ると、私と同じくらいの年と思われる男子が、パソコンにかじりついていた。

間違いない。黒田だ。

「黒田…だよね?」
「おう」

黒田はパソコンから一切目を離すことなく答えた。画面には、鎧を着た騎士などが映っていた。

「何のゲーム?」
「話しかけるな」

かなり真剣らしい。でも、せっかくここまで来たんだ。それに、私を寝かせてくれていたってことは…多分、根はいい。

「頼みがあるんだけど」
「だから、話しかけるな」
「とりあえず、聞いとくだけでいいから」

私は、百瀬さんのやったこと、そして私の腕と足のことを話した。黒田は適度に相槌を打ったが、それでもパソコンから目を離す気配は毛頭なかった。

「それで? 俺に何してほしいんだ?」
「…百瀬さんを、拉致してほしいの」
「…は?」

キーをカタカタと打つ音が、一瞬だけ止まった。

「…犯罪者になれってか? てか、何で?」
「不平等だと思わない?」
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