コワレモノ―人類最後の革命―
私は、ゲーム内で迅奈を尾行することにした。今はとにかく、迅奈のどんな情報も欲しかったのだ。

「ん…?」

すると、迅奈が私に話しかけてきた。

「もしかして、園浦高校の方ですか?」

どうやら、裏サイトは既に覗いていたらしい。別に隠すつもりもないし、警戒したところでどうにかなる可能性は薄い。肯定しても、問題はないだろう。

「そうなんですよ。迅奈さんもですか?」
「はい。よろしくお願いしますね」
「私、まだまだ初心者なんです。色々教えていただけませんか?」
「いいですよ。じゃあ、とりあえず私について来て下さい」

…迅奈は脳髄まで筋肉でできているのだろうか、警戒心というものをまるで持っていないようだった。

「このくらいの距離まで近づいたら、武器を近距離型に変えるんです」

迅奈について行ったおかげで、基本的な操作や戦略はある程度理解できた。あの攻略サイトの文章も、少しは読めるようになった。

「結構やりこんでるんですね」

何とはなしに質問してみた。すると、ここで本日最大の収穫があった。

「はい。私、学校ではいつも力仕事を任されちゃうんです。女子なんですけど、体力は男子の平均を超えてるので。だから、家に帰ったらその分思いっきり休むことにしてるんです。それでネットを見てたらこのゲームを見つけて、気がつけばハマっちゃったんですよ」

これが、どうして収穫と言えるのか。

理由は簡単。これで、迅奈の弱点が分かったからである。

迅奈には…時間を与えないことが、夢壊しにもっとも適している。
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