コワレモノ―人類最後の革命―
「何? 手伝ってほしいことって」
「ちょっとこっち来てくれる?」

迅奈を教室まで誘導し、迅奈を教室に入れる。そしてその瞬間。

「えっ!?」

教室の引き戸を壊れそうな勢いで閉め、ほうきで突っ返させる。こうすれば、ドアはびくともしない。

「行くよ、黒田、渡辺」

私達は教室に背を向けた。こうやって一日教室の中に閉じ込めておけば、私のことを恐れるはず。そうなれば…私の勝ちだ。

だが…この作戦は、意外なところで崩れてしまうのだった。

「バキィィィン!」

何か硬いものが折れるような音がした。かと思うと、引き戸の音がした。

「嘘…」

後ろを振り返ると…ほうきの残骸が散らばった床に、迅奈が立っていた。

「に…逃げるよ!」

私の目には、この光景は恐怖そのものだった。ほうきをも砕いてしまうなんて…迅奈の体力はどうかしている。そしてその迅奈は、今怒っている。その矛先は…私達だ。

確実に殺される。私は生物の本能として、それを感じ取った。

階段を駆け下り、グラウンドまで出る。しかし、一メートル後ろには迅奈がいた。

「…何してくれてるのぉぉぉ!」

迅奈の拳が硬く握られ、私の腹にめり込む。私の体は二メートルほど宙を舞い、仰向けでグラウンドに叩きつけられた。
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