コワレモノ―人類最後の革命―
ゲームは進み、残りのマスは三つだけとなってしまった。

今のところの戦況は…才夏の圧倒的有利。私の黒いコマは、もう数えるほどしかない。

「では、私の番ですね」

さすが才夏だ。神童と呼ばれるだけのことはあって、まるで私の手がずっと先までも見えているかのように打ってくる。

私の負けは…それこそ、目に見えていた。だが、そうだとしても打たなければならなかった。いつの間にか、私は才夏の用意した迷路にすっかりはまってしまっていた。抜け出すことなんて、できやしない。

「では、これでゲームエンドです」

才夏が最後のマスにコマを置き、画面内でコマが一つ、クルリと裏返る。画面に「WHITE WIN」の文字が浮かび上がる。当然の結果だ。

「では、先生のパソコンへの侵入は許可しませんのでご了承ください」

そのメッセージとともに、オセロの画面は閉じ、私のパソコンはデスクトップに戻っていた。

「はぁ…」

ため息が周りに聞こえてしまいそうで、慌てて口を閉じた。

でも、ここで諦めるわけにはいかない。

せっかくの夢壊しのチャンスだ。私は、才夏の悪事を暴かなければいけない。

「…よし」

もう一度、私は先生のパソコンに接続した。もう一度ハッキングをするために。

だがそこで、思いがけないことが起こった。

後ろの方で、ガチャリと音がした。振り向いてみると、ドアの前に人だかりができていた。

「どうしたの?」
「鍵が…開かないんだ…」

すると、目の前のプロジェクターに文字が表示された。

「さあ、お楽しみはここからです」
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