コワレモノ―人類最後の革命―
もう、いてもたってもいられなくなった。私は純粋に、才夏の横暴に腹が立った。

「ふざけないで！」

私は叫んだ。場の空気が凍り、静まり返る。皆の視線が一斉に私の方に向けられるのが、ほぼ真っ暗な部屋の中でもはっきりと分かる。

「たまたま頭がよく産まれたからって…何でもしていいって思ってるの！？」
「誰に言ってるの？」

まるで感情を持っていないかのように、才夏が冷静な口調で話す。

「アンタよ、才夏！」
「私が何かした？」
「とぼけないで！　ハッキングで事件も起こしてるくせに！」

ざわつきだすが、次の才夏の一言で再び空気が変わる。

「証拠はあるの？」

才夏の口調は無感情そのものだったが、周りを同調させることはできた。

「そうだそうだ！」
「証拠はあんのか！」
「勝手に人を犯罪者扱いするな！」

台風の雨よりも激しく、私に罵声が浴びせられる。言うまでもなく、周りは全て敵だった。

「そうだぞ、尾所。証拠もないのに疑うのはよくないぞ」

先生すらも、私の敵だった。

証拠を見せることができたら話は早いのだが、それができない。薄い薄い壁が一枚あるだけなのだが、その壁を割ることも、飛び越えることもできずにただたたずんでいた。

それなのに…私は言ってしまった。

「じゃあ、証拠を見せる」
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