コワレモノ―人類最後の革命―
才夏はまっすぐ印刷機の方へ向かうと、刷り上がったテストの問題を折りたたみ、カバンの中に入れた。そして何事もなかったかのように、部屋を出て行った。
映像を止め、私は言った。
「これが、才夏がハッキングをしてるっていう証拠よ」
才夏がすかさず反論するが、その表情には少しばかり焦りが見え隠れしていた。
「でも、その映像は本物とは限らないでしょ? 勝手に編集されたかもしれないし…」
「じゃあ、あれは?」
私は渡辺と黒田の方を指さした。二人の手には…この前の定期テストの答案があった。どちらも才夏のものだが、コピーではない。
「ちょっ…どこから…」
「お前の母親に電話して、探してもらったんだ」
「まさか一度テストを入手してるとはな…そりゃ百点とれるわけだぜ」
「…そんなことしていいって思ってるの…?」
よし、来た。もう壊せる。
いつの間にか、夢壊しを楽しんでいる自分がいた。だが、何故か狂気に染まって行くという予感も恐怖もなかった。私こそが正しい。そう思っているからだろう。
「人間は平等だから」
「…は?」
「同じ人間っていう生物として産まれたんだから、同じ扱いを受けないといけないでしょ? 親は選べないんだから」
「何言ってんの? …ね、皆もそう思うでしょ?」
才夏が部屋にいる皆に言うが、誰一人才夏に賛同するものはいなかった。
「お前と同じ意見は持ちたくねーよ」
「教えてもらった勉強法、全然役に立たないし」
「後で生徒指導室に来なさい」
そして…才夏は、逮捕された。後から聞いた話だが、才夏は暇潰しにとある国の警察組織のネットワークをクラッキングしたことがあったという。天才はまた、そうして、天才であるが故の罰を受けるのかもしれない。
映像を止め、私は言った。
「これが、才夏がハッキングをしてるっていう証拠よ」
才夏がすかさず反論するが、その表情には少しばかり焦りが見え隠れしていた。
「でも、その映像は本物とは限らないでしょ? 勝手に編集されたかもしれないし…」
「じゃあ、あれは?」
私は渡辺と黒田の方を指さした。二人の手には…この前の定期テストの答案があった。どちらも才夏のものだが、コピーではない。
「ちょっ…どこから…」
「お前の母親に電話して、探してもらったんだ」
「まさか一度テストを入手してるとはな…そりゃ百点とれるわけだぜ」
「…そんなことしていいって思ってるの…?」
よし、来た。もう壊せる。
いつの間にか、夢壊しを楽しんでいる自分がいた。だが、何故か狂気に染まって行くという予感も恐怖もなかった。私こそが正しい。そう思っているからだろう。
「人間は平等だから」
「…は?」
「同じ人間っていう生物として産まれたんだから、同じ扱いを受けないといけないでしょ? 親は選べないんだから」
「何言ってんの? …ね、皆もそう思うでしょ?」
才夏が部屋にいる皆に言うが、誰一人才夏に賛同するものはいなかった。
「お前と同じ意見は持ちたくねーよ」
「教えてもらった勉強法、全然役に立たないし」
「後で生徒指導室に来なさい」
そして…才夏は、逮捕された。後から聞いた話だが、才夏は暇潰しにとある国の警察組織のネットワークをクラッキングしたことがあったという。天才はまた、そうして、天才であるが故の罰を受けるのかもしれない。