コワレモノ―人類最後の革命―
それからしばらく経ったある日のこと。

私は、とある留置所に面会に来ていた。

「入れ」

看守の一言でガラスの向こう側にやって来たのは、変わり果てた、だがあの日と同じ、才夏の姿だった。

「久しぶり、才夏」
「…今更何?」

才夏は、まるで生気を失っていた。そりゃそうだろう。今までの夢壊しの中でも、これは群を抜いて厳しい夢壊しだから。

「私がここまでする理由…教えとかないと、って思って」
「理由?」
「うん」

私は袖をめくり、肩と腕との接続部分を才夏に見せた。すると、元学園始まって以来の神童はすぐに答えた。

「突き飛ばしたからその拍子に車にはねられて、それで腕と足を失ってモデルの夢を断たれたから私達の夢も断とうとしてる、ってことでしょ?」
「…全部持っていかれちゃった…」
「このくらい余裕で分かるわよ」
「そこは変わってないみたいね」
「…で、聞きたいことは他にあるんでしょ?」
「…そうね」

一呼吸置いてから、口を開いた。

「首謀者って、誰?」
「もう知ってるのね、首謀者がいること」
「迅奈から聞いた」
「そう…あの脳筋、最後まで脳が足りなかったみたいね」

才夏の言い方に、違和感を覚えずにはいられなかった。

「…仲悪かったの?」
「うん。…さて、そろそろ行かないと。ちなみに、首謀者の名前は教えられるわけがないわ」
「どうして?」
「その人は…凡人にはどう使用もない力を持ってるから」

才夏が去り、面会は終了となった。最後の言葉に圧のようなものを感じた私は、しばらくそこに座っていた…。
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