コワレモノ―人類最後の革命―
だが…あの日、私達の明暗が分かれた。
両手両足を失った私は、オーディションどころかモデルへの夢の一切を手足と同じく断ち切られた。一方茉湖は、断トツの得票数で勝ち上がり、見事「non-non」の専属モデルの座を勝ち取ったのである。
希実は、お見舞いに「non-non」を毎号買ってきてくれていた。茉湖からの連絡はなかったので、茉湖が受かったという情報はまだ持っていなかった。そんな時に、希実がいつものように買ってきたのだ。
「…あれ…?」
かなりぎこちない動きで目をこすり、もう一度そのページをよく見てみる。だが、結果は変わらない。
「…希実」
「ん?」
「このページ…見てくれる?」
手渡そうとしたが、慣れない義手のせいで床に落としてしまった。乾いた衝撃音が、いつもより冴えわたって聞こえる。
「あ、ゴメン…」
「大丈夫。…で、どれ?」
「右のページの子…茉湖だよね?」
「え? …あ、この『MACO』って子? いや~、似てるだけじゃない?」
その時は気のせいということになったが、数日後、希実は茉湖に確かめていた…。
歯ぎしりするほど悔しがった。壊れそうになるまで義手でベッドを何度も叩いた。何日も眠れない日が続いた。
あの時、道路に押し出されなかったら。あの時、一緒に帰ってなかったら。
これが、私の「夢壊し」の原点なのかもしれない。
実力的には私の方が少し上だったのに、今誌面で楽しそうに服を着ているのは茉湖。この不条理な現状が、許せなかった。
両手両足を失った私は、オーディションどころかモデルへの夢の一切を手足と同じく断ち切られた。一方茉湖は、断トツの得票数で勝ち上がり、見事「non-non」の専属モデルの座を勝ち取ったのである。
希実は、お見舞いに「non-non」を毎号買ってきてくれていた。茉湖からの連絡はなかったので、茉湖が受かったという情報はまだ持っていなかった。そんな時に、希実がいつものように買ってきたのだ。
「…あれ…?」
かなりぎこちない動きで目をこすり、もう一度そのページをよく見てみる。だが、結果は変わらない。
「…希実」
「ん?」
「このページ…見てくれる?」
手渡そうとしたが、慣れない義手のせいで床に落としてしまった。乾いた衝撃音が、いつもより冴えわたって聞こえる。
「あ、ゴメン…」
「大丈夫。…で、どれ?」
「右のページの子…茉湖だよね?」
「え? …あ、この『MACO』って子? いや~、似てるだけじゃない?」
その時は気のせいということになったが、数日後、希実は茉湖に確かめていた…。
歯ぎしりするほど悔しがった。壊れそうになるまで義手でベッドを何度も叩いた。何日も眠れない日が続いた。
あの時、道路に押し出されなかったら。あの時、一緒に帰ってなかったら。
これが、私の「夢壊し」の原点なのかもしれない。
実力的には私の方が少し上だったのに、今誌面で楽しそうに服を着ているのは茉湖。この不条理な現状が、許せなかった。