コワレモノ―人類最後の革命―
そして今、私は夢壊しの作戦を考えている。

茉湖のことは、私もよく知っている。その点で有利でもあり、逆もしかりなので不利でもある。

そんなことは関係ない。私は、ただ茉湖の夢を壊すだけ。

「…」

一瞬、頭を迅奈の姿がよぎった。迅奈の、腕と足を自分で斬るあの姿…。

茉湖にも、そうしてもらおうか。私と同じく、腕と足を失ってモデルを諦めてもらえればいい。

だが、それだと夢壊しにはならない。もうすでに、茉湖は夢をかなえてしまっている。それを壊すということは、そんなことではないのだ。

「はぁ…」

でも、それ以外に方法が思い浮かばなかった。まるでその考えが脳のしわにはまっているように、抜け出せない。

茉湖のことを、より一層知っておいた方がいいかもしれない。私は「MACO」で検索をかけた。

「ん? これは…」

茉湖はブログをやっていた。専属モデルともなれば、皆するものなのだろうか? 早速、私の知らない茉湖が現れた。

「最新の更新は…って、あれ?」

そして、知らない茉湖がまた一つ。

茉湖のブログは、年明けで更新が止まっていた。その最後の更新は、何やら意味ありげなコメントだった。

「皆さん、私を忘れて下さい」

その日は、その一行以外に何も書かれていなかった。
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