コワレモノ―人類最後の革命―
トイレに行こうと教室を出た、その時。

「尾所」

私は黒田に呼び止められた。

「どうしたの?」
「ちょっと…話したいことがあるんだけど、いいか?」
「何?」
「ここじゃ話しづらいから、ついて来て」

黒田について行くと、自販機の横に来ていた。

「ここじゃ人目につかないだろ?」
「人目をはばかるような話なの?」
「そうかも…な」

黒田は咳払いをすると、こう告げた。

「俺…尾所のこと、好き…なんだ」
「…えっ…?」

時空が止まったような感覚に陥る。

「俺を学校に来れるようにしてくれたの、尾所だから…。それに、俺の考え方に共感してくれる奴がいるってこと、今までなかったから」
「…」

嫌な気持ちはしなかった。

経験したことのない感情が湧き出でる。

…そうか。

結那は、この感覚を得たくてあんな風に男子に近づいて…。

結那のことが、一瞬頭から消えたような気がした。

だが、それだけでは終わらなかった。

「尾所」

後ろから声がする。振り返ると…渡辺がいた。

「渡辺?」
「ふぅ…先を越されたみたいだな」
「先を越された?」

…まさか…。私の心は、想像以上に高鳴っていた。
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