コワレモノ―人類最後の革命―
「動かないで」

雪乃にだけ聞こえるような声で呟いた後、私は陰から銃を雪乃の頭に突き付けた。そしてひそかに、ドアを閉め…。

「ん…!?」

ドアが、固くて閉まらない。…いや、誰かがドアを押さえている?

ドアをゆっくりと見てみると…雪乃が、左手でドアをしっかりと押さえていた。

「撃つよ」

牽制を掛けるが、雪乃は手を離さなかった。

「嫌だ…閉めないで…!」
「その手を離して!」

心なしか、声が大きくなってしまう。カーテンを閉めた二人も、私達を見て唖然としていた。

「おい、何やってんだよ…」
「手伝ってっ…!」

女子一人対女子一人。力はほぼ互角。男子の助けが必要だ。

「ちょっと待ってろ!」

しかしながら車いすの二人の動きは教室内では遅く、その時間はいたずらに私の握力を消耗するだけだった。

「もう、無理…」

雪乃の顔をちらっと見てみると、だいぶ苦しそうな顔をしている。もう少し、もう少し頑張れば…。

「ああっ!」

雪乃が、ついに手を離した。私の粘り勝ちだ。すぐさま私はドアを閉め、鍵をかけ、銃をもう一度雪乃の頭に当てた。
< 82 / 120 >

この作品をシェア

pagetop