コワレモノ―人類最後の革命―
「で、俺らは今、二人で復讐してる。こいつにな」
そう言いながら、籠夜さんは一枚の写真を手渡した。話をしていくにつれ、常識面での私の記憶は戻ってきている。でも自分やその周りの情報になると、やはり何も出てこない。
「光岡月見。こいつは直接お前を突き飛ばしたわけじゃないんだが、突き飛ばすように指示したんだ。さっきの氷室も同じだけど。まあ、本当はその上に諸悪の根源がいるんだが…今話しても混乱するだろ?」
「もうすでに状況が読めてないんですけどね…」
「で、だ。お前の記憶がいつ戻るかは分かんないし、もしかしたら戻らないかもしれないけど、一つ頼みたいことがあるんだ」
「何ですか?」
「ちょっと、耳貸してくれ」
龍臣さんが私の耳元でささやく。
「…えっ…?」
「ああ。…やってもらっていいか?」
「…無理です」
考えるより先に、口がそう動いていた。
「そんなこと…できません」
「尾所…」
「私は龍臣さん達の知ってる尾所咲羅じゃないんです!」
空気が凍てつく。
「その復讐って、私が記憶をなくす前に考えてたんでしょ? だったら、私は関係ないじゃないですか!」
「そうじゃなくて、俺達は…」
「巻き込まないで下さい!」
私はうつ伏せになった。そしてその日は、二人の声を聞くことはなかった。
しかし、その翌日。
「尾所」
二人は、また私のところにやって来た。
そう言いながら、籠夜さんは一枚の写真を手渡した。話をしていくにつれ、常識面での私の記憶は戻ってきている。でも自分やその周りの情報になると、やはり何も出てこない。
「光岡月見。こいつは直接お前を突き飛ばしたわけじゃないんだが、突き飛ばすように指示したんだ。さっきの氷室も同じだけど。まあ、本当はその上に諸悪の根源がいるんだが…今話しても混乱するだろ?」
「もうすでに状況が読めてないんですけどね…」
「で、だ。お前の記憶がいつ戻るかは分かんないし、もしかしたら戻らないかもしれないけど、一つ頼みたいことがあるんだ」
「何ですか?」
「ちょっと、耳貸してくれ」
龍臣さんが私の耳元でささやく。
「…えっ…?」
「ああ。…やってもらっていいか?」
「…無理です」
考えるより先に、口がそう動いていた。
「そんなこと…できません」
「尾所…」
「私は龍臣さん達の知ってる尾所咲羅じゃないんです!」
空気が凍てつく。
「その復讐って、私が記憶をなくす前に考えてたんでしょ? だったら、私は関係ないじゃないですか!」
「そうじゃなくて、俺達は…」
「巻き込まないで下さい!」
私はうつ伏せになった。そしてその日は、二人の声を聞くことはなかった。
しかし、その翌日。
「尾所」
二人は、また私のところにやって来た。