コワレモノ―人類最後の革命―
「…何ですか?」

そっぽを向いたまま話す。

「昨日の件、考えてくれた?」
「そんなわけないじゃないですか」
「…だよな」

ため息が、一つだけど三人分、部屋に溶ける。

「ゴメン、尾所」
「別に謝って欲しいんじゃないんです」
「…やっぱり、違うんだな…。前の尾所とは」

当たり前のことを切なげにつぶやく龍臣さん。前の私は、一体どんな人物だったんだろう?

「…悪い、邪魔したな。もう帰るから」

気配が遠のく。

「待って下さい」
「え?」
「前の私について…色々と教えて下さい」

私は二人の方を向いた。振り返ったその顔には、かすかながら涙の跡が見えていた。

およそ一時間後。

「…って感じだな」
「じゃあ、私の復讐にお二人を巻き込んだってことですか…?」
「巻き込むなんて大それたもんじゃないけどな。ただの協力関係」
「あの、昨日はあんなこと言ってすみませんでした…」
「いいって。…っていうか、これでまた平等になったんじゃね?」
「あ、確かに」

少しだけ、笑みがこぼれた。

「…ま、とにかく俺らは『夢壊し』の作戦立てないとな」
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