コワレモノ―人類最後の革命―
黒田の話をまとめると、こうなる。

月見は今、雪乃が去ったことでショックを受けているらしく不登校気味となっている。そこを突いて、むりやり学校に来させようというのが今回の作戦らしい。

だが、一つだけ問題がある。

「坪根が、だんだん前面に出てきた」
「姫乃が?」
「ああ。今もまだ乙骨の書き込みが出てきてるんだが、ちょっと質問を重ねてみたらそいつは坪根だってことが分かった」
「質問?」
「まあ、さりげなく本人にしか分からないことを聞いたってことだ」
「それ…ヤバいよ…」
「ん?」
「そんなことしたら…何されるか分かんないよ?」
「どういう意味だよ?」
「夢壊しの対象として、黒田を指名してくるかもしれない…」
「その時は無視したらいいだろ? 依頼を」
「そういうわけにもいかないんだって! その時だけ無視したら、絶対ブラック・カーゴが一枚噛んでるって分かるでしょ?」
「でも、もうしたから…」
「…とにかく、今は月見への夢壊しのことに集中しよう」
「そんな先の話、後でいいってか?」
「ちょっとは危機感持ってよ!」

斜めに降る雨が窓を打つ。暗雲で空が見渡せない。当分この雨は止みそうにない。

「…悪い。尾所の記憶が戻ったから、テンション上がってた」
「…」
「…坪根のことが無視できるなら、光岡の夢壊しはもう終わったも同然だ。教室に強制連行したら、あとは自分で壊れてくれるだろ」
「…そううまくいく?」
「坪根が出てこなければ、な」

ドアが開く音が聞こえる。

「記憶、戻りましたか?」
「あ、はい」
「…それなら、もう入院は大丈夫ですね。傷ももう痛くないでしょうし、外出も自由です」
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