コワレモノ―人類最後の革命―
…というわけで…。

「月見~?」

私は、月見の自宅前でインターホンを鳴らし続けていた。

「いるんでしょ~? 学校行こうよ~」

かれこれ三十分近く粘っているのだが、一向に出てくる気配がない。でも、学校で色々とやらかしているおかげで遅刻を全く恐れなくなった私にとっては、粘ることなんて苦じゃなかった。

「皆心配してるんだよ~?」

ノックも加えてみるが、月見は一向に出てこない。

「…留守かな…?」

電話をかけてみる。

「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため、かかりません…」

無感情な音声ガイダンスが応答する。

「じゃあ…」

もしかしたら、相手が私だから出ないのかもしれない。次は非通知だ。

「プルルルル…」

呼び出し音が鳴る。それと同時に、かすかだが電話の着信音が聞こえる。やはり、月見は中にいるらしい。

「プルルルル…」

だが、電話に出る気配はない。非通知でも、警戒しているのだろうか。

「プルルルル…」

それでも、呼び出し音は一定の音程とリズムで鳴り続けた。
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