コワレモノ―人類最後の革命―
「プルルルル…」
焦りすらも生じてきた。腕時計を見てみる。来てからそこまで時間は経っていないのだが、感覚的にはもはや永遠よりも長く待っているような気がする。
「プルルルル」
呼び出し音が、途絶えた。この後に聞こえるのは、月見の声か、はたまた不通音か…。
九回裏ツーアウト満塁の局面のように、緊張が走る。私一人だけなのに、スタジアム全員分の緊張感を背負っていた。
「…」
無音。実際の時間にして、およそ一秒。だが、これも私には永遠に感じられる。汗が首筋を伝う。唾が喉を通る。スマホを持っていない方の手が、固く握られる。横隔膜が活動を止める。
「…ツー、ツー、ツー…」
最終バッターは、最後の最後で三振となってしまった。スタジアムのため息が、全て私の口から漏れ出る。
「はぁ…」
やはり、私はここでインターホンを鳴らし、ドアをノックし、そして一日を無駄に過ごすことになるのか…。
そう思っていた、その刹那。
「…えっ…?」
ドアがガチャリと音を立てて、ゆっくりと私の方へと迫って来た。何かよく分からない臭いが鼻をつつく。そして、そのドアの奥から…。
「月見…」
ボサボサ頭に、シャツとジーパン。女としての美を捨ててしまったかのような変わり果てた姿の月見が、靴もはかずに玄関先へと出てきた。
「…やっぱり、咲羅か…」
月見は今にも消えそうな声で、でもしっかりとそう言った。
焦りすらも生じてきた。腕時計を見てみる。来てからそこまで時間は経っていないのだが、感覚的にはもはや永遠よりも長く待っているような気がする。
「プルルルル」
呼び出し音が、途絶えた。この後に聞こえるのは、月見の声か、はたまた不通音か…。
九回裏ツーアウト満塁の局面のように、緊張が走る。私一人だけなのに、スタジアム全員分の緊張感を背負っていた。
「…」
無音。実際の時間にして、およそ一秒。だが、これも私には永遠に感じられる。汗が首筋を伝う。唾が喉を通る。スマホを持っていない方の手が、固く握られる。横隔膜が活動を止める。
「…ツー、ツー、ツー…」
最終バッターは、最後の最後で三振となってしまった。スタジアムのため息が、全て私の口から漏れ出る。
「はぁ…」
やはり、私はここでインターホンを鳴らし、ドアをノックし、そして一日を無駄に過ごすことになるのか…。
そう思っていた、その刹那。
「…えっ…?」
ドアがガチャリと音を立てて、ゆっくりと私の方へと迫って来た。何かよく分からない臭いが鼻をつつく。そして、そのドアの奥から…。
「月見…」
ボサボサ頭に、シャツとジーパン。女としての美を捨ててしまったかのような変わり果てた姿の月見が、靴もはかずに玄関先へと出てきた。
「…やっぱり、咲羅か…」
月見は今にも消えそうな声で、でもしっかりとそう言った。