コワレモノ―人類最後の革命―
「何の用事…?」
「学校行こう…って思ってたんだけど、そんなの無理だよね。特に、私なんかとは」
「分かってるなら、さっさとどっか行ってもらえる? 私、一人でいたいの」
「…一人?」
「両親揃って、どこかで遊んでる。もうすぐ帰ってくると思うけどね」
「…そっか…」

月見はしっかりした性格だと思っていたが、そんな背景があったとは。

「…みじめでしょ?」
「えっ?」
「雪乃がいなくなっただけで、こんなにボロボロになって…。よく考えれば今までも散々クラスメートが転校していったのに、たった一人がいなくなっただけでこんなになって…。笑いたければ笑えば? どうせ雪乃を追い出したのは咲羅なんでしょ? コワレモノって咲羅なんでしょ?」
「…今、何て…?」
「咲羅って、コワレモノでしょ?」
「…はい?」

一体どこからそんな情報を…。でも、そこでボロを出してはならない。とぼけてみる。

「…ふふっ、嫌だ、月見。何言ってんの? 私がコワレモノだって? 冗談うまいんだから…」
「もういいの」

月見の言葉に、いくらか生気が戻ってきた。

「皆が学校を去っていくうちに、気づいた。追い出されているのは、あの日咲羅を突き飛ばした、いや、あの計画に関わったメンバーだって」

昨日の雨はまだ止まず、空を暗く、地面を透明に濡らしている。

「でも、ずっと黙ってた。何でか分かる? …言えなかったのよ、私。自分がしたことの重みは分かってるつもりだから、自分の中だけで解決してたらいいって、そう思ってた。笑っちゃうでしょ? こんなに弱い人間、見たことないでしょ?」
「…」
「コワレモノさん、私の夢壊し、簡単だったでしょ?」

私は再び、唾を飲んだ。
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