コワレモノ―人類最後の革命―
天女を壊す
引きこもり生活のせいで衰弱した月見の体を引っ張り、校門をくぐる。そして教室のドアを開け、月見を教室の中に突きだす。

「やめてよ、咲羅!」

月見の言葉が聞こえていないフリをして、私は教室の前から立ち去ろうとする。

「月見!?」
「何よ、その格好?」
「光岡…だよな?」

次々に月見に駆け寄る皆の姿が、手に取るように分かる。

「嫌…!」

窓が黄色く光る。

「嫌ぁぁぁぁ!」

夢壊し、完了。残りはあと二人。姫乃と…彼女の最後の腰巾着、春名花梨。

「…おい、尾所は…?」
「そういえば、さっき『やめてよ、咲羅』って言ってたわよね…」

ヤバい。気づかれた。

「おい、尾所!」

ドアが開き、クラスメート達が一斉に廊下へと溢れだす。前とは違って、足の速いクラスメートも追いかけてくるので逃げきれなかった。

「お前…光岡に何したんだよ?」
「むりやり連れてきて、一体何の理由があるんだ?」
「…」

黙っている以外、方法がなかった。私がコワレモノだとばれてはならない。もう少しで、全てが終わるのだから。

「その辺にしてあげなよ」

後ろで、花梨の声がした。
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