脳をえぐる小説集


ふたたび想像に集中する。


まず、雅彦と同じ身長の骸骨を思い浮かべる。硬さ、艶、形などを細かく想像する。


すると、部屋の中央に、骸骨があらわれる。


幻覚だとわかっていたが、一瞬びくっとしてしまう。


今度はその骸骨に、内臓を当てはめてゆく。雅彦は、よく友達といっしょに、隠れて煙草を吸っていたから、肺は少し不健康だということにしておく。


骸骨の肋骨の内側に、想像したとおりの内臓が出現する。体液に濡れ、生々しく脈打つそれを見て、思わず吐き気を感じてしまう。


今度は脂肪や筋肉を想像し、それで骸骨をみっちりと包む。その上に、よく日焼けした皮膚をはり、体中に、髪から産毛まで、様々な体毛を植えてゆく。


さらに、脳や血管、人体を構成する全てのものを、想像し、取りつけて、完璧な雅彦の体を作り出す。



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