脳をえぐる小説集


「いいわよ」
遊美は、あっさりと答えた。
陸は少し拍子抜けした。
遊美にとっては、仲間を殺せと頼まれているようなものではないかと思ったからだ。
そんな疑問を察したのか、遊美は言った。
「わたしも、人を殺す付喪は嫌いだから。父のことで、あなたがさっき言っていたことがわかった。人が死ぬって、嫌なことだね。わたしは父を、付喪に殺された。だから、あの黒い声を出すような、人殺しの付喪は憎い」
さっきの遊美の泣き声を思い出した。
「そうか・・・・・・。そうだったね・・・・・・」


陸は、ゆっくりと拳を握り、決意を固めた。




付喪狩りが、始まった。






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