脳をえぐる小説集
「じばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじば」
気持ち悪い。
頭を抱えたくなるのをこらえて、さらに意識を集中する。
この付喪の声から、だいたいの方向と場所の見当をつける。
方向は、海の方。
場所は、小学校の近く。
「行くよ、遊美ちゃん」
目を開けた陸は、顔に浮かんだ汗をぬぐって、部屋の隅を見た。
そこには、遊美が立っていた。
廃材置き場で拾った鉄柱を肩にかついでいる。
「見つけたの?」
「うん」
「そう」
ふたりはアパートを出て、走り出した。
小学校の近くまで来ると、陸は再び意識を集中した。
「じばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじばじば」
近い。
目をつぶり、ゆっくりと呼吸をし、方向を特定する。
「あっちだ」
目を開いた。
その視線の先には、一軒の住宅があった。