脳をえぐる小説集


濃い夕日が射す通夜の会場で、月田羅利子は涙をふきながら、そう決心した。


棺桶の前では、血縁者達が整列し、ひとりずつ焼香をあげていた。羅利子をふくむ雅彦の同級生達も、制服姿でその列にならんでいる。


鹿村雅彦は、十七歳で死んだ。交通事故だった。


クラスで人気者だった生徒の死に、誰もが表情を暗くしていた。低い嗚咽が何度も聞こえてくる中で、遺影に写る雅彦の日焼けした顔だけが、まぶしい笑みを浮かべている。


焼香を終えると、羅利子はその遺影を見上げた。


雅彦君。ちょっと変わった形で、もうすぐ会えるからね。


心の中でつぶやき、小さく笑う。



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