脳をえぐる小説集
あまりにもためらいのない動きだったので、ここが校舎の三階であることを思い出すのに数秒かかった。
ずしゃ、という音がした。
おれは窓からそっと、下を見おろした。
一目見ただけで、死んでいるとわかった。頭の中身をぶちまけて、生きていられるわけがない。うつぶせになって落ちていて、表情が見えないことがありがたかった。
落ちた場所は裏庭で、人の気配がなく、おれ以外誰も彼女の死に気がつかなかった。
おれはぼうぜんと突っ立っていた。頭の中がしびれたようになっていて、何も考えられなくなっていた。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りひびいた。数人の男子生徒が、楽しそうにしゃべりながら後ろを通りすぎていった。
その時、異変が起きた。