脳をえぐる小説集


朝が近づき、空はうっすらと青くなりはじめといた。


その空を、小動物の群れが飛んでていた。


ばかみたいにたくさんの数の鳥や虫が空を埋めつくし、縦横無尽に飛びまわっていた。


けたたましい鳴き声や、羽音が、窓ガラスを割りそうなくらいにやかましい。


数分もしないうちに、その鳥や虫たちは山の方へ飛び去っていった。


何が起きたのかわからずに、ぼうぜんとしていると、今度は町の方角から騒ぎ声がかすかに聞こえてきた。大勢のひとの悲鳴や怒号、泣き声やわけのわからない絶叫、それにまじって車の急ブレーキ音、衝突音。人気のないこの辺りにまで届いてくる。


何か災害でも起きたのかと思って、おれは建物の外に出た。


町の方角にもう一度目をこらしたが、とくに変わった様子はなかった。地震ではないし、火事で燃えている感じでもない。やがて騒ぎ声は、ゆっくりと遠ざかっていった。



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