脳をえぐる小説集


夏の終わりが近づいてきた頃の夜。


利美が夕食にグラタンを作ってくれた。
「前に、調理実習で作ったことがあるです」


ここでの食事は、基本的に缶詰めや保存食ばかりだったので、久しぶりに手料理が食べられるのはうれしかった。


利美がお茶をいれている間に、おれは食器の用意をした。湯呑みとスプーンをテーブルの上に置こうとしたときだ。


急に、嫌魔が小刻みに震えだした。


おれは湯呑みとスプーンを床に落としてしまった。やかましい音が響き、利美がおどろいてふりかえる。
「お兄ちゃん、どうしたです?」


おれは返事をしなかった。何か異変が起きることを察して、顔を青くしながら警戒した。




そして、最後の異変が起きた。




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