脳をえぐる小説集


やがて町から出たところで、おれはやっと我にかえった。


利美を置いていってしまったことを思い出し、あわててもどろうとしたが、体が動いてくれなかった。


町の方を向いただけで、立っていられなくなるくらいの吐き気がこみあげてくるんだ。初めて味わった嫌魔の力は、想像以上に強烈だった。




きっと嫌魔は、おれが絶望し、自殺しそうにないから、狙いを利美に変えたんだ。そして利美を孤独にして、おれに捨てられたという絶望感をあたえて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちくしょう。




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