脳をえぐる小説集
十六歳
その後、おれは警察に保護されて、親元に帰された。
両親は、帰ってきたおれを暖かく迎えてくれた。もう、嫌魔のせいで嫌われることはなかった。両親は、いままでのおれに対しての仕打ちを深くあやまってくれた。
親父とは、あの夜のことは話さなかった。おふくろのためにも、あの時のことは互いに無かったことにしようという、暗黙の了解ができていた。
こうして、嫌魔から解放されたおれは、あっさりと平凡な日常にもどることができた。
そして、普通の高校生として、いま友達のおまえと話をしている。
こんな話、信じられないか?
まあ、信じてもらえなくてもいいさ。
嫌魔から解放されて、初めてできた友達がおまえだったからな。嘘だと思われてもいいから、聞いてほしかったんだ。