アロマティック
「なんとか衣装に着替えさせたけどさ、全然だめ。あれは例えていうなら手負いの猛獣だね。楽屋から全く動こうとしないんだから」
手負いの猛獣……。
まだ、機嫌直ってないんだ。
「リーダーと朝陽は?」
「まだスタジオで時間稼ぎしてるはず」
「じゃ、そっち応援行きますか」
手すりにもたれていた天音が、聖の待つ屋内へ通じるドアへ向かう。
「えっ永遠ちゃんは?」
助けを求めにやってきた聖が、天音の選択に驚く。
「みのりちゃんに任せる」
天音はみのりを振り返り、笑顔でウインク。
「わ、わたし!?」
わたしが手負いの猛獣の相手!?
「ぼくと聖ちゃんはスタジオねー」
「えっみのりちゃんひとり!? 大丈夫? 可哀想じゃね?」
戸惑う聖の肩を天音は引き寄せて、安心させるようにその肩を叩く。
「ま、待って」
焦ったみのりが慌てて呼び止める。聖と肩を並べていた天音が顔だけ振り向かせた。
「この際みのりちゃんも、いいたいこといってすっきりしたらいいんだよ」
「………」
「感情ぶつけ合ったあとってさ、よりお互いの存在が近くなるんだよ」
天音がチャンスを与えてくれている気がした。
前に進むチャンスを。
そのチャンスを活かすも殺すもわたし次第。
みのりはなけなしの勇気をかき集めた。
手負いの猛獣……。
まだ、機嫌直ってないんだ。
「リーダーと朝陽は?」
「まだスタジオで時間稼ぎしてるはず」
「じゃ、そっち応援行きますか」
手すりにもたれていた天音が、聖の待つ屋内へ通じるドアへ向かう。
「えっ永遠ちゃんは?」
助けを求めにやってきた聖が、天音の選択に驚く。
「みのりちゃんに任せる」
天音はみのりを振り返り、笑顔でウインク。
「わ、わたし!?」
わたしが手負いの猛獣の相手!?
「ぼくと聖ちゃんはスタジオねー」
「えっみのりちゃんひとり!? 大丈夫? 可哀想じゃね?」
戸惑う聖の肩を天音は引き寄せて、安心させるようにその肩を叩く。
「ま、待って」
焦ったみのりが慌てて呼び止める。聖と肩を並べていた天音が顔だけ振り向かせた。
「この際みのりちゃんも、いいたいこといってすっきりしたらいいんだよ」
「………」
「感情ぶつけ合ったあとってさ、よりお互いの存在が近くなるんだよ」
天音がチャンスを与えてくれている気がした。
前に進むチャンスを。
そのチャンスを活かすも殺すもわたし次第。
みのりはなけなしの勇気をかき集めた。