アロマティック
「いや、ちょっとした脚色が。うちの実家でさ、最近犬を飼い始めたんだよ。めっちゃ小さなプードルなんだけど、これがまた超絶可愛くて」
可愛い犬を思いだし、デレている永遠に、噂のティーカッププードルのことだとみのりは確信した。
「どうしても一番に俺になついてほしかったんだ。なついてもらうためにしばらく実家にも通ったんだよ。遊び相手になったりご飯あげたり、時間あるときは散歩にも連れてった。にも関わらず、なぜか俺よりも弟になついて。同時に名前呼んでも必ず真っ先に行くのは弟の方。俺、二の次。結構マジへこみで、みのりに話したふられた相手が、じつはその犬のことだったんだ」
申し訳ないといいにくそうにしながらも、暴露して心苦しさがなくなったのか、どこかホッとしたような永遠。
「なにをいっても弁解になるけど、本当にショックだったんだ。甲斐甲斐しく世話してた分、絶対俺が一番だって信じて疑わなかったから、尻尾振って弟に甘える様子見て、失恋に近い感覚覚えた」
「それって春子さん?」
いつまで経っても出てこない名前、みのりは思わず聞いてしまった。
「あれ? なんで知ってんの? いや、正しくは『春子さん』じゃなくて『春』なんだけど」
永遠の失恋の相手、やっぱり春子さんだったのだ。みのりのなかでずっと引っ掛かっていたモヤモヤもこれで解消される。
女性が相手じゃないことがハッキリして、心のどこかでホッとしている自分がいた。
可愛い犬を思いだし、デレている永遠に、噂のティーカッププードルのことだとみのりは確信した。
「どうしても一番に俺になついてほしかったんだ。なついてもらうためにしばらく実家にも通ったんだよ。遊び相手になったりご飯あげたり、時間あるときは散歩にも連れてった。にも関わらず、なぜか俺よりも弟になついて。同時に名前呼んでも必ず真っ先に行くのは弟の方。俺、二の次。結構マジへこみで、みのりに話したふられた相手が、じつはその犬のことだったんだ」
申し訳ないといいにくそうにしながらも、暴露して心苦しさがなくなったのか、どこかホッとしたような永遠。
「なにをいっても弁解になるけど、本当にショックだったんだ。甲斐甲斐しく世話してた分、絶対俺が一番だって信じて疑わなかったから、尻尾振って弟に甘える様子見て、失恋に近い感覚覚えた」
「それって春子さん?」
いつまで経っても出てこない名前、みのりは思わず聞いてしまった。
「あれ? なんで知ってんの? いや、正しくは『春子さん』じゃなくて『春』なんだけど」
永遠の失恋の相手、やっぱり春子さんだったのだ。みのりのなかでずっと引っ掛かっていたモヤモヤもこれで解消される。
女性が相手じゃないことがハッキリして、心のどこかでホッとしている自分がいた。