アロマティック
 一方、永遠はEarthのメンバー、ひとりひとりの顔を思い浮かべていた。
 誰だよ!
 勝手にうちの春に『子』をつけて古くさい名前で呼ぶだけに留まらず、みのりにいった奴は?
 人間だと勘違いさせて……勘違い?

 はじめはメンバーの文句をぶちぶちとひとりごちていた永遠が、急ににんまりとご機嫌になりだしたので、みのりは戸惑った。

「俺、いまスゲー嬉しい」

「えっなんで?」

「気にしてたってことは、妬いてたってことだろ?」

 いわれて、改めて考えてみる。
 わたしは、春って名前をはじめて聞いたときから、ずっと正体を気にしていた。

「やきもち、なのかな?」

「だね」

 大きく頷いた永遠の、目が眩むほどまぶしい笑顔。

「待ってて。みのりがもっと妬くくらい夢中にさせてみせるから」

 そういった永遠は、約束の誓いを立てるように、みのりのこめかみにそっとキスをした。その親密な仕草に、頭がクラクラしたみのりは、永遠の与える影響力に胸をドキドキさせた。
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