アロマティック
ラストノート

スイートチェンジ

 みのりは某百貨店の、とある売り場に来ていた。
 店内は開店したばかりだからか、閑散としていて人もまばらだ。
 目的の場所にたどり着いたみのりは、目の前に並んだボトルマグを眺めた。
 スタイリッシュなもの、女子が好みそうな可愛らしいもの、見た目にこだわりを感じられるもの、抜群の保冷保温効果をうたったものなど、さまざまなものが置かれている。

「あれ~? また買うの? 持ってたやつ壊しちゃったの~?」

 買い物に付き合わされた、幼馴染みの理花が問いかける。

「壊してないよ。ちゃんと持ってる」

 自分が頭のなかでイメージしているボトルマグを探しながら、話しを続ける。

「今日はわたしのを買いに来たんじゃないんだ。あ、この大きさでカラー豊富なやつないかな?」

 さまざまなボトルマグがずらりと並ぶ棚の上を、みのりの視線がさまよう。理花は周りを見渡し、一点を見つめた。

「あ、あっちにあるボトルマグ、色んな色がありそうよ~?」

 理花の声に顔をあげたみのりは、理花の指さす方を見た。少し離れた場所に『必ず見つかるあなた色』というポップと共に、カラーバリエーションが豊富なボトルマグが並んでいた。希望を叶えてくれそうなコーナーに、顔を耀かせ早速移動。
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