アロマティック
女同士、気楽に飲んでいたかった。一抹の寂しさを感じながら、みのりはちらりと理花を見た。テーブルを挟んだ向かい側の席で、両手に花(男)状態で幸そうに微笑んでいる。なんて生き生きとしてるんだろう。あんなに嬉しそうな理花、見たことない。
みのりにとっては男と同席、それが例え人に羨ましがられるようなメンバーだとしても迷惑なだけだが、理花にとっては特別なことなのだろう。早く帰ろうなんていえないよ。みのりはさっさとこの場から立ち去りたかったが、理花の気持ちを考え我慢した。
いまだけ。今日限り。ちょっとした修行だと思えば……。
「顔はやめろ」
通路側の端っこに座るみのりのとなりから不貞腐れた声。本のことはふたりで話し合ってくれと、みのりは永遠のとなりの席に並んで座らされていた。
「はぁ?」
それまで顔を見るのも嫌でそっぽを向いていたみのりは、顔をあげると永遠の仏頂面と出会う。
「首から上は、大事な商売道具」
永遠は己の顔を指差す。
淡い照明の下、みのりをじっと見つめてきた。長い足を交差させて組み、テーブルに片方の肘を乗せ、長身のすらりとした体をみのりに向けている。
みのりにとっては男と同席、それが例え人に羨ましがられるようなメンバーだとしても迷惑なだけだが、理花にとっては特別なことなのだろう。早く帰ろうなんていえないよ。みのりはさっさとこの場から立ち去りたかったが、理花の気持ちを考え我慢した。
いまだけ。今日限り。ちょっとした修行だと思えば……。
「顔はやめろ」
通路側の端っこに座るみのりのとなりから不貞腐れた声。本のことはふたりで話し合ってくれと、みのりは永遠のとなりの席に並んで座らされていた。
「はぁ?」
それまで顔を見るのも嫌でそっぽを向いていたみのりは、顔をあげると永遠の仏頂面と出会う。
「首から上は、大事な商売道具」
永遠は己の顔を指差す。
淡い照明の下、みのりをじっと見つめてきた。長い足を交差させて組み、テーブルに片方の肘を乗せ、長身のすらりとした体をみのりに向けている。