アロマティック
「逃げないわよ!」
仕事にはプライドを持って接してきたぶん、永遠の言い方に腹が立った。カッときたみのりは、理性で答えるまでもなく、そう切り返していた。
「ならもう、答えはでたな」
みのりの反応を先読みしていた永遠が嬉しそうに穏やかに笑う。その指が、みのりの唇に触れた。
「強く噛んだりするから赤くなってるぞ」
永遠の指が、優しくみのりの下唇を撫でた。澄んだ瞳が唇に注がれる。そこにはただ、純粋な気遣いが表れていた。
わたしには永遠がいる。
永遠がいるから強くなれる。
永遠がいるいまを、大事にしたいから。
わたしは逃げない―――。
一方、リハーサルスタジオに残された4人は。円を囲むように床に座って頭を寄せあっていた。
「永遠ちゃんのファンとトラブったとき、それを隠そうとしたみのりちゃんの気持ち、今ならよく理解できるよ」
聖がとなりに座る天音に話しかける。
「守りたかったんだね」
天音はとなりの朝陽を見た。
「今どき珍しいくらい、本当に真っ直ぐなんだな」
朝陽はとなりの空に相づちを求める。
「見てるこっちが守りたくなる」
空の言葉に、4人は意味ありげな視線を交わし合う。
「永遠ちゃんいるから出る幕ないけどね」
「まぁね、ぼくたちの出る幕はないわけですよ」
にやりといたずらっ子のような笑みを浮かべる聖に、天音が口角を持ち上げて頷いたのを合図に、各々立ち上がる。それぞれが決意を胸に秘めて。
仕事にはプライドを持って接してきたぶん、永遠の言い方に腹が立った。カッときたみのりは、理性で答えるまでもなく、そう切り返していた。
「ならもう、答えはでたな」
みのりの反応を先読みしていた永遠が嬉しそうに穏やかに笑う。その指が、みのりの唇に触れた。
「強く噛んだりするから赤くなってるぞ」
永遠の指が、優しくみのりの下唇を撫でた。澄んだ瞳が唇に注がれる。そこにはただ、純粋な気遣いが表れていた。
わたしには永遠がいる。
永遠がいるから強くなれる。
永遠がいるいまを、大事にしたいから。
わたしは逃げない―――。
一方、リハーサルスタジオに残された4人は。円を囲むように床に座って頭を寄せあっていた。
「永遠ちゃんのファンとトラブったとき、それを隠そうとしたみのりちゃんの気持ち、今ならよく理解できるよ」
聖がとなりに座る天音に話しかける。
「守りたかったんだね」
天音はとなりの朝陽を見た。
「今どき珍しいくらい、本当に真っ直ぐなんだな」
朝陽はとなりの空に相づちを求める。
「見てるこっちが守りたくなる」
空の言葉に、4人は意味ありげな視線を交わし合う。
「永遠ちゃんいるから出る幕ないけどね」
「まぁね、ぼくたちの出る幕はないわけですよ」
にやりといたずらっ子のような笑みを浮かべる聖に、天音が口角を持ち上げて頷いたのを合図に、各々立ち上がる。それぞれが決意を胸に秘めて。