アロマティック
 急に重くなる雰囲気に、みのりはどうしたものかと慌てる。

「えっなんーー」

 悲しげな天音の様子に、焦ったみのりが口を挟もうとしたとき、その声は再び天音によって封じられた。

「少し気分が悪くなったのかもしれません。でも、落ち着いたら戻ってくるから大丈夫ですよ」

 そういって顔をあげたときには天音の顔に、満面の笑みが咲いていた。ついさっきまで周り(みのり)を心配させるくらい仲間を心配して、胸を痛めていたみたいだったのに、次の瞬間にはケロッとしてる。
 なんなの? 切り替え早くない???
 それに気分が悪いんだったら、誰か見に行ってあげたほうがいいんじゃないの?
 なんで誰も様子を見に行ってあげないの?

「ハーイハイハイ! じゃあここで、理花ちゃん、あーんど、みのりちゃんに質問コーナー!!」

 考え事をしていたみのりは、突然名前を呼ばれてびくっと飛び上がる。
 な、なに?

「メンバーの中で誰が好きで、す、かっ!?」

 握りこぶしをマイク替わりに、最初からずーっとハイテンションな聖が、理花に聞いている。
 突然始まった質問コーナーとやらについていけず、みのりは唖然とした。理花はひとりひとり顔を見ては下を見て、恥ずかしそうにもじもじしている。
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