アロマティック
「え~それ聞いちゃいます!?」

 天音もまんざらではなさそうに笑っている。
 そんなこと聞いて選ばれなかったら悲しくないの? みのりは心の中で、疑問を感じた。
 「Earth」のリーダー空と、朝陽は静かに状況を見守っている。止めないところをみると、この質問の結果に興味を持っているらしい。

「さぁ理花ちゃん! 遠慮なくいっちゃってっ」

「……はい」

 聖に促されて勇気をもらったのか、理花は頷く。答えを待つ4人は、前のめりにした体を固くして息を詰めている。軽い気持ちで聞いたわりには、この答えにものすごく注目しているようだ。独特な緊張感のなか、「Earth」メンバー4人が固唾を飲んで見守る。
 これで理花が永遠くんっていったらどうするんだろ? 少し意地悪な興味から、みのりも理花の答えを待った。

「えっと……リーダーの空くん」

「えっ俺!?」

 自分を指差して驚いた空。次の瞬間にはほんわりと嬉しそうに笑った。他の3人は一斉に脱力。あからさまにガッカリしている。

「リーダー、ですかっ」

 手で顔を覆って、天を仰ぐ天音。

「……なんだよ」

 つまらなそうに呟くのは、瞳に強い力を感じさせる朝陽。表情豊かなダークブラウンの瞳は、理花の答えに納得していない。

「ガーン」

 人が真っ白になるとはこういうことだろうか? さっきまでハイテンションだった聖が、肩はどこへいった? というくらい肩を落として落ち込んでいる。
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