アロマティック
「……か、いいよな。永遠?」

「あ? ああ、ごめん。なに?」

 個別の仕事前にEarth皆で事務所にあるスタジオに集まって、コンサートで使う映像効果の撮影について話していたところだった。
 完全に気持ちが飛んでいた。己に一番必要なのはみのりだが、仕事も大事だ。永遠は気を引き締め仕事に集中した。


 お互いを知り尽くした仲間同士の話し合いは、短い時間でどんどんまとまっていく。コンサートの形もだんだん出来上がってきた。
 アロマティックの撮影が終わったら、他の仕事は抑えて、2ヶ月先のコンサートに集中だ。

 一段落ついたところで、

「たまには手伝ってこようかな」

 天音がスッと立ち上がる。
 一瞬視線を上げた永遠は再び台本読みに戻り、天音が出ていくのを、他の3人も特に口を挟むこともなく、静かに見送った。


 みのりは静かな給湯室で、ハーブティーを作りながら、重いため息をついていた。
 凌に腕を掴まれたとき、恐怖に身がすくんだ。
 怖くて喉が締め付けられるように苦しくなって、自分で逃れることが出来なかった。
 救世主のように現れた永遠くんの姿を確認したとき、わたしの心を覆う恐怖が、強い光に照らされ、一瞬にして消し飛んだ。
 飛び込んだ大きな胸のなかで感じたのは、ここなら大丈夫だという安らぎと、内側から燃えるような情熱。
 体が永遠くんを望むのを、心は止められなかった。
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