アロマティック
 みのりが見つめるなか、アロマティックの撮影は進み、撮影は終盤にさしかかっていた。
 アロマ指導の須藤さんとは、代打をこなして以来顔なじみになり、時おりドラマの仕事に協力をしたりして仲良くさせてもらっていた。
 アロマティックの撮影のゴールも見えてきて、クランクアップの日にちも見えてきた。
 予定ではあと2週間。

 永遠やEarthのメンバーと一緒にいること、ドラマの現場に立ち合うこと、毎日が楽しくて、気づいたら永遠と出逢って3ヶ月。
 もう3ヶ月も経ってしまったのだ。
 そろそろ今後について考えないと……。
 皆のそばにいたい。その気持ちは強いけれど、わたしはドラマのためにアロマアドバイザーとして雇われたのだ。
 終われば契約は切れる。
 解放される日がくる。
 無理やりアドバイザーにされた初日のわたしだったら、もろ手を上げて喜んでいただろう。
 いまは、アロマティックの撮影が終わらなければいいのにとさえ思っている。
 朝はEarthの事務所へ向かい、給湯室で皆のぶんのハーブティーを作る。ボトルマグは直接メンバーの皆に渡すときもあれば、各々のマネージャーが取りに来て仕事先に届けるときもある。わたしはその後、永遠と行動を供にして仕事場を周り、台本で使うアロマのお勉強。そんな生活に慣れてしまった。

 この生活から切りはなされたら、わたしは……。
 永遠は?
 わたしたち、キスはした。
 仕事仲間以上の特別な仲ではあるけど、恋人未満。
 お互いの気持ちは、不確かなまま。
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