アロマティック
「大丈夫。俺がいるから」

 不安げな様子を感じ取り、励ますようにみのりの手を掴んだ腕に力を込める。

「凌といえば、最近近づいてこないな」

「うん……そうだね」

 わたしもふたりきりにならないよう、気を配っているけど永遠の存在が大きい。
 凌の視線を感じると、その先に凌を見る永遠がいて、その無言の射殺すような視線に、やっつけられているんだと思う。
 話し合うなら。
 凌から話し合うきっかけを作られるより、自分のタイミングで話し合いたい。
 わたしに覚悟ができるまで、もう少し時間が欲しい。でも、あまり先伸ばしにすると、また凌のほうから接触のチャンスを狙ってきそうだ。

「近づいたところで、もう二度とみのりにあんな思いはさせないけどな」

「自分の身は自分で守れるように、気を付けるから―――っ」

 永遠は、みのりに言葉を続けさせなかった。掴んでる手を引き、もう片方の腕でみのりの後ろ首を捉えると屈ませ、自分も身を起こし、キスで封じた。

「俺が守る」

 突然のことで唖然とするみのりが見たのは、ネオンライトに照らされた勝ち誇ったような笑み。

「と、永遠くん……!」

 運転中のマネージャーが見てたらどうするの!?
 生憎、運転に集中していたマネージャーのほうはそれどころではなく、全く気づいてない様子。
 よ、良かった。それにしても。
 みのりは永遠の肩を目掛けて軽く叩いき、怒ったようにふくれてみせる。

「あだっいだだっ! か、 肩の骨が……!」

 大げさに痛がり、キスしたことをしらばっくれる永遠が楽しそうで。ついついその笑顔に釣られて笑ってしまった。
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