アロマティック
 約半年後――。

 紺色のビジネススーツに身を包んだみのりは、とあるドアの前に立っていた。
 なかからは賑やかな声が聞こえてくる。
 懐かしさに笑みが浮かんだ。
 礼儀正しく2回ノック。
 つかの間静かになるドアの向こうから「どうぞ」という返事が返ってきた。
 わたしはドアノブを回して入っていく。
 頭を下げ、

「失礼します。この度Earthの専属アロママネージャーに就任しました、藤本みのりです」

 お辞儀が済んで顔をあげると、こちらを向いたEarthの5人が、信じられないものを見るように唖然としたまま固まっていた。
 どう? と、真新しいネームプレートを自慢気に指さす。

「みのり……」

 永遠が立ち上がる。

「ただいま」

 久しぶりの再会に、照れ笑いを浮かべると、

「おかえり……!」

 大股で歩いてきた永遠に、強く抱きしめられた。

「やったー! みのりちゃんだ!」

「おかえり!」

「またこれで一緒に過ごせますね」

「全員集合、だな」

 4人も駆けてきて、ふたりの周りに群がる。
 空も、天音も、聖も、朝陽も、皆、笑顔でみのりに向かって手を差し出しす。みのりは永遠に抱きしめられたまま、ひとりひとりとパチン! 高い音を響かせてハイタッチをした。


 今日から、新しい生活が始まる。
 そこには永遠がいて、Earthの皆がいる。
 Earthはそれぞれの個性で人々を魅了する。それはまるで、アロマが様々な香りでひとを魅了するように。
 わたしは、その彼らの香りがもっと魅力的に匂いたつように、側で見守っていくのだ。
 アロママネージャーとして。

 END
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